2010年10月07日 02:12

SS 脱線事故 がにまたな日常 がに氏

さて過去に何度紹介したかは不明ながら・・・

是非読んでほしいお話がひとつ・・・

初見で読んだときは鳥肌と涙がとまりませんでした。

2008年4月26日
午後23時46分
菊塚から白木町に向かう列車が脱線
乗客87名が死傷。

18年がすぎ、私は41歳になっていた。

「白木町脱線事故ですね。
菊塚駅で必ず下車してくださいね。
もし乗車されたままですと次の白木町駅で
列車が脱線されますので大変危険な状況になります\。」

「あっ…はい。」

「万が一のために安全パックをお勧めしますが。」

「いえ、結構です。」

「では、2000円になりま~す。」

過去に行き、列車事故を体感するアトラクションがある。
列車マニアの間で流行ってるらしい、大事故を起こす列車に乗車し
事故が起きる直前の駅で下車する。

事故の前の様子を肌で感じられるのが快感らしい。

「写真などの撮影は、ご遠慮ください。
他に見学されている方の迷惑になります。
また過去を変えるような恐れがある行動をされますと
強制帰還させていただくこともありますので、ご了承ください。」

私は今でも当時の事故を鮮明に覚えている。

先頭車両が脱線、急減速した影響で車列が折れ
連結器部分で折り畳まれるような形になったために
玉突きになって被害が拡大したものとされる。
当時、事故車両の1両目は片輪走行で左に傾き脱線し壁に激突。
続く2両目も片輪走行しながら激突、車体側面から叩きつけられる
状態に加えて3両目に追突されたことによって大破。
3両目は進行方向と前後が逆になる。
4両目は、3両目を挟むようにして下り方向の線路と
西側側道の半分を遮る状態でそれぞれ停止した。

「2両目が良いですよ。
2両目は1両目と3両目に挟まれた形になって車両ごと潰れたんですよ。
だからね、2両目にいた乗客16名は全員死亡したんですよ~。」

受け付けの女性は、興奮しつつ言った。
女性の言う通りに私は2両目に座っている。

スポーツ新聞を読むサラリーマン
ぐったり口を開けて眠るオバサン
イヤホンを耳にあてリブムにのる若者。

いつもと変わらない1日が終わり家に帰る途中なのだろう。
彼等は、これから起こることを知らない。

列車のドアが開く。
事故まで、あと8駅である。

ドアが閉まろうとした瞬間、一人の女性が走りながら列車に乗ってきた
閉まりかけてたドアは再び開き女性を車両に乗せた。
慌ただしい様子の女性は汗をかき、ホッとした表情を見せた。

彼女は急いでいたのだろう。

美人な人だった。
彼女はカバンの中に入っているトイレットペーパーを取り出し汗を拭いた。

なぜトイレットペーパーがカバンの中にあるのか。

トイレットペーパーで汗を拭く彼女が可笑しくて
私は彼女を凝視した。 彼女と目が合う。

「なんですか?」

彼女は不思議そうな顔で私に尋ねた。

「いえ…ハンカチ貸しますか?」

私が尋ねると、彼女は黙って、じっと私を見ている。

「いあやぁあ、トイレットペーパーで汗を拭いてるから…。」

喜ぶんです…彼女は、いきなり喋り微笑んだ。

「喜ぶんです、私の彼氏が。
私の身体からでた汗とか鼻水とかをティッシュに包んで
彼が気がつかないように彼のポケットに入れるんです。」

「えぇ…喜ぶん…ですか?」

彼女は笑ったまま汗のついた
トイレットペーパーを自分のカバンの中に入れた。

「はい、まえにもね私の噛んだガムを
トイレットペーパーに包んで、こっそり彼のジャケットのポケットに
入れたんです。そしたらジャケットにガムがくっついちゃって!!」

彼女はゲッヘッヘと汚い声を出し笑う。

「それ、彼は、怒らないんですか?」

「それが、彼、ポケットに入ったトイレットペーパーを
発見すると信じられない顔して喜ぶんですよ!
しかも、今日、彼の誕生日なんですよ。
今日も喜んでくれるかなぁ。」

彼女は心配そうな顔に変わった。

「そうなんだ。
その汗のついたトイレットペーパーがプレゼント?」

「ゲッヘッヘ、違いますよ~。
誕生日プレゼントは別に買いました。」

彼女はカバンの中から
トイレットペーパーに包装されたプレゼントを出し
「これなんです。」と私に見せた。

「仕事が遅くなっちゃって
24時がすぎる前に渡したいんですよね。」

「だから急いでたんですね。」

「そうなんです。
あの~? 今、何時か解りますか?」

私は時計を持たない。

「ごめん、時計をしないんだ。 きっと間に合うよ。」

列車のドアが開いた。
事故まで残り7駅である。

「おいくつなんですか?」

彼女は私に質問をした。
41歳であることを言うと「お若く見えますね。」と、微笑む。

仕事は?
どこに住んでいますか?
独身ですか?

彼女は悪徳商法のごとく、私への質問を続けた。

半導体会社に勤めていること
菊塚に住んでいること
結婚をして子供がいること
彼女の質問に私は全て答えた。

彼女は22歳で先月、大学を卒業し食品会社で働いているらしい。

彼女と私は、仕事や家族や恋人、友人のことなど様々な話しをした。

彼女は、時折、時間を気にし携帯電話のディスプレーを見る。

「どこの駅で降りるんですか?」

と尋ねると「白木町です。」と答えた。

「プレゼント、間に合うといいですね。」

電車は停車し、人を乗せ、また一つ先の駅へと進む。

2008年4月26日。
あの日のことを私は思い返した。

私は23回目の誕生日を迎えた。
仕事が終わり携帯電話を開くと美織からのメールが届いていた。

仕事が終わらないから、少し遅刻するね

その日、美織は、私の家で私の誕生日会を開いてくれるはずだった。

美織とは同じ大学で知り合い私は一方的に彼女を好きになった。
23回、フラれ、24回目の告白でようやく彼女は、首を縦に振った。

私にとって初めての彼女で何をしていても美織といる時は楽しかった。
美織との交際期間は4年になろうとしていた。

23時になっても家に来ない彼女に私はメールを送った。

遅いよ。
何分、遅刻するつもりだよ?
ご飯、食べないで待ってるから急げぇ~

その10分後、彼女からの返信メールが届いた。

やっと仕事が終わったよ。 ゴメンね、急ぐね。
でも、少しは遅刻される人の気持ちもわかったでしょ?
ご飯食べないで待ってるんだぞ!!

私は彼女とデートの約束をする時
必ずといっていいほど遅刻をする。
お腹が空いたが晩ご飯に手をつけずに美織を待った。
24時まで、あと30分になっても家に来ない
美織に私は再びメールを送った。

遅い!!
あと何分ぐらいで着く?

彼女は「あっ…携帯、鳴ってる。」と、つぶやき
カバンの中に入っている携帯電話を取り出した。

「彼氏からです。
あと何分ぐらいで着くの?って。」

彼女は、そう言うと携帯電話をカバンの中に閉まった。

「返信、しなくていいんですか?」

「平気です。彼の家、あと3駅なんで。
それに自分勝手なんですよ、いつも遅刻するくせに
自分が祝ってもらう時だけ時間にシビアになって。
少しは私の気持ちも考えろっての!!」

「それと…」彼女は、まだ続けた。

「去年のクリスマスの日なんて3時間も遅刻したんですよ。
少しは待つことも教えてあげなくちゃ!!」

彼女は怒ったそぶりを見せながらも安心した表情である。

「彼のこと嫌いなんですか?」

私が聞くと、彼女は微笑んだ。

「いえ、大好きですよ。
今では少しでも長い時間、彼と一緒にいたくて…
彼といる時が1番、幸せなんですよ。」

恥ずかしいですよね。
と、彼女が言い、私は首を振った。

「今は、お互い大学を卒業したばっかで自分の生活で精一杯だけど
落ち着いたら結婚しよって。 結婚生活は楽しいですか?」

私は涙を堪える。

「はい、楽しいですよ。」

「子供は可愛い!?」

「うん。
生意気だけどね。」

「うらやましいです。
ほんとに可愛いんだろうなぁ…自分の子供って。」

言葉が見つからず

「もうすぐ白木町です。
今日中にプレゼント渡せそうですね。」

と、言うと私は涙を流していた。「どうしたんですか?」と
彼女が心配そうな顔でこっちを見る。 疲れてるので、と私は目を擦った。
車内アナウンスが聞こえる。

次は菊塚、次は菊塚、お出口は左側です。

「たしかぁ、お住まいは、菊塚ですよね。
短かったけど、もうお別れですね。 楽しかった!!」

彼女は微笑みながら話す。
私は彼女の微笑んだ顔が大好きだ。

「えぇ。楽しかった。」

「あなたに会えて良かったです。」

「えっ?」

「いえ…家族を大事にしてくださいね。」

彼女は笑いながら「幸せに。」と続けた。

「ありがとう。」

ちょうど列車は菊塚に到着し、私は列車から降りた。

彼女の方を振り返ると、彼女は深く私にお辞儀をしていたので
私もお辞儀をした。

ドアが閉り、列車は菊塚から白木町に向かう。

あの日、彼女からの最後のメールがきたのは23時44分のことだ。
テレビをつけながら、彼女の到着を待っていると、携帯電話が鳴った。

「いま、あなたに似た人に会ったよ。
凄く悲しい顔をしてて私まで少し悲しくなった。
それと今日中にプレゼント渡せないかもしれない、ゴメンね。
今日、言えないかもしれないから…誕生日おめでとう!!
あなたがこれからも幸せでいることを願います。」

あの日から私は彼女のことを1度も忘れたことなどない。

18年という時を私だけが刻んでいた。

菊塚の駅のホームに強い風が吹く。

再び涙が零れる。

ティッシュを取ろうとジャケットのポケットの中に手を入れと
なにか固いモノが手にあたった。

取り出してみると、トイレットペーパーに包装された腕時計が入っていた。

彼女は、よく言っていた。

「少しでも、あなたが時間を気にして遅刻がなくなるように
あなたの誕生日には腕時計をプレゼントしてあげる。」

私は左腕に腕時計をはめた……18年も待ってたんだぞ

なかなか素晴らしいと思いませんか!
ところどころ文章が個性的なところあるけど。
それはまあおいといて。

ちなみに・・・このお話書いた人・・・
すごい有名人なんですよ・・・

特にLydiaでは・・・ね

Lydiaで考えうる限りの悪事をつくし
アイスウォールで有名な

サニ様でございます。

おお・・・さすがに頭おかし・・・
天才と馬鹿は紙一重ってことですか。

や、マジでこの記事サニの人のBlogの記事ですからね
最初は目を疑いましたよ
こんな文章書ける人なんだなあって

http://yaplog.jp/gani/archive/174

他鯖の人はサニって誰?ってなるかもしれませんが
涙キラの管理人っていったら伝わるのかしら。

彼が昔何をしていたかはともかく、
この話は特にお気に入りなんですよね。

 

コメント

1番~4番を表示

2010年
10月07日
02:16

1: リーガ・マカディア

すみません、通りすがりのものです
引き込まれるように全部読んでしまって最後のオチに「お前かい!」と思わず声が出ました

あの人まだいたんですな・・・・と、懐かしい気分になれました

お邪魔しました

2010年
10月07日
02:20

2: 激おこぷんぷん丸

>>1 リーガ・マカディアさん
こんばんわ。
今でもLydiaで遊んでると、たまーに見かけますよ。

昔みたいな目立つ遊び方はしてないみたいですがw

2010年
10月07日
07:53

3: 椿@Mimir

と、いうより昨日異世界で見(ry

2010年
10月07日
12:29

4: 激おこぷんぷん丸

元気そうでなによりです。