2011年02月11日 11:51
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同居恋愛
朝、私を起こすのは彼女の仕事の一つでもある、だがしかし朝ごはんは私の仕事だ。
彼女はあまり器用な方じゃない為、仕事を任せるわけにはいけない。
作っている間匂いに誘われてか庭を眺めていた彼女が近寄ってきた。
「まだご飯できてないぞ」
私はそういいながら台所の向こうからこっちをまっすぐ見ている彼女にいった。
分かってるのか分かってないのか良く分からないが、一度頷いてから彼女はまた窓の外を眺めている。
ご飯が終わると私は仕事のためにスーツに着替えるところをジーッと見てくる。
「今日は早く帰れるかもしれない、お昼ご飯はいつものところにおいてあるよ」
私はそれだけ言って、ドアをあけ外へでた、初夏と言え雨季がまだ続いているのか、じめじめとした空気が頬を撫でる。
この会社に行っている間が一番心配である。
彼女は不器用なくせに何かとしたがり、よく家に帰ってくると部屋の中がすごいことになっているときがある、後片付けは私の役目だが、きょとんとした顔で手伝ってはくれやしない。
毎度のことだが、帰ってきて部屋がすごいことになってるときはいつも、玄関の前で律儀に待っていて、すまなさそうな顔でこっちを見てくる、これじゃこっちが折れるのも仕方ない話である。
なるべく台所のほうには近寄らないように言い聞かせているが、お昼ご飯のたびにわざわざ私が隠しているお菓子のほうを探しているのか、被害は台所が多い。
包丁やコンロがあるから怪我をされては困るためきちんと言い聞かせるが、毎度のように分かったような素振りで私をだます。
案の定帰ってくると部屋はすごいことになっていた。
「まったく、少しは大人しくしておいてくれよ」
小言も聞かない素振りでそっぽを向いている、
「にゃー」
一言だけ返事が返ってきた。
彼女なりの「ごめんなさい」だったのかもしれない。
その一言でついつい私は彼女を許してしまう。
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